わかりやすい? 特定疾患

最終更新2014.12.28


平成26年5月、難病法案が可決成立しました。難病対策がついに法制化され、平成27年1月からは新法による制度に移行します。


この改正で大きく変わる点のひとつが「特定疾患」から「指定難病」への変更です。もちろん対象となる疾患や内容も変更されていますので注意が必要です。この記事内容も26年12月末までのものですが、参考のため、一定期間掲載しておくことにしました。 


新しい制度についてはこちらをごらんください。


難病対策
のひとつに医療費の自己負担の軽減(公費負担)があります。その基本になる“難病”と“特定疾患”についてできるだけ簡単に説明しましょう。

※それぞれの制度そのものが大切であることは分かっているのですが、患者にとって重要な問題である医療負担額についてはせっかく良い制度があっても分かりにくいことが多いようです。ここではその医療費の面から制度を解説します。

 特定疾患ってどんな病気?  

 
膠原病の治療を受けるなかで“特定疾患”という名前をよく耳にしますね。でも何だか話が合わないってことありませんか? それは“特定疾患”という用語を使用する事業がいくつもあるからです。

まず、”特定疾患”以外にも公用語によく出てくる”特定”という言葉ですが、分かるようでわかりにくい言葉ですね。”特定”とは、法規制の及ぶ範囲を規定する場合に付けられる言葉として用いられるもので、簡単に言えば
法律などの中で対象とする一定のグループを指し示すときに用いられています。

「一定のグループ(疾患)」ということは皆さんご存知だと思いますが、その
法律などごとに”特定”の範囲が違うので、”特定疾患”という言葉だけでの使用では説明不足ということになります。

でも、実際には事務を行う立場からの発言が多いので、「○○の特定疾患」みたいに丁寧な表現をされませんから、私たち患者にとっては混乱のもとになっているんだと思います。膠原病に関して“特定疾患”という用語が用いられるのは次の事業などですが、事業の詳細を知らなくても理解できるような呼び名を用いてもらいたいですね。
 
※「特定疾患対策研究事業」は平成15年4月から「難治性疾患克服研究事業」へと名称変更されました。
小児慢性特定疾患治療研究事業はその根拠が平成17年4月1日から児童福祉法となりましたので、事業内容も改正されます。京都府(市)では平成17年6月1日から改正されました。(他府県では4月1日から改正されているところもあります)

 

 難治性疾患克服研究事業
 特定疾患治療研究事業
 小児慢性特定疾患治療研究事業
 都道府県単独の事業

 
以下京都府内での事業内容について説明します。他府県でも基本的には同じですが、異なっている場合もあるのでご注意いただくようお願いします。また、生活に密着したという意味で「公費負担」に重点を置いた説明となっていますが、これらの事業のおかげで難病の治療方法などが研究され、解明されつつあることを忘れないようにしたいと思います。
 
※事業内容が複雑なことから、できるだけわかり易くと考えて、リンクの一部は「難病情報センター」のサイトの各ページへ直接行っていましたが、本来、リンクはトップページへすべきところですし、同センターサイトのFAQにもそのように明記されておりますので、リンクは全てトップページへと訂正いたします。(2003.8.25) 
 

  
 難病ってどんな病気?  

 
難治性疾患
克服研究事業

難病とは一体どういう病気のことをいうのでしょうか?
社会通念上(誰もが普通に持っているイメージ)では、簡単に治りそうも無いような重い病気(不治の病)のことを指すと思います。でも、それでは曖昧(あいまい)すぎて実際に医療費の公費負担などの対象になるものかどうか判断に迷ってしまいます。

実は公的な難病対策の対象としての“難病”が昭和47年に制定された「難病対策要綱」に定義されています。それは次のとおりです。1は医学的な観点から見た場合、2は社会的な観点からみた場合の捉え方とも言えます。これで少しはっきりしてきましたね。
 

原因不明、治療法が未確立であり、後遺症を残す恐れが少なくない疾病

経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、精神的にも負担の大きい疾病

 
具体的には、この定義に基づいて130の難治性疾患(平成21年10月現在)が難病として指定され、調査・研究されています。ちょっと難しいですが、これを難治性疾患克服研究事業といいます。

この事業でいう難治性疾患”
“難病”と同じ意味です


難病の定義は膠原病の特徴とほぼ一致しますね。だから多くの膠原病がこの“難病”に指定されていますが、全てということではありません。慢性関節リウマチは指定されていません。(イメージは下図


この事業のおかげで、膠原病を含む多くの病気の対症療法が確立されてきました。将来的には原因の究明までいってもらいたいと思います。

この事業の対象疾患(難治性疾患)も場合によっては特定疾患と呼ばれていますが、全てが公費負担の対象になるわけではありません。対外的に混同しやすいことも、事業名称変更理由のひとつと思われます。それならぜひ「特定疾患」と呼ぶ方法も改めてほしいものですね。(この事業は平成15年3月まで「特定疾患対策研究事業」と呼ばれていました)

 

 
下記の内容が難病情報センターのサイトにありますので、ご覧ください。
●難治性疾患(=難病:130疾患)のリスト
●難病の概念
●難治性疾患克服研究事業
 

  
 公費負担を受けられる特定疾患って?


●特定疾患
治療研究事業

難病”のうち特に治療が困難な疾患に該当するものを対象として国(厚生労働省)が治療方法などの研究を進めています。その目的は次のように定められています。
 

原因が不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、特定疾患については、治療がきわめて困難であり、かつ、その医療費も高額であるので、特定疾患治療研究事業を推進することにより、特定疾患に関する医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図ること。

認定手続きや公費負担など事業の主体は都道府県ですが、対象疾患の指定などその内容は厚生労働省が定めています。これを特定疾患治療研究事業といいます。


この事業でいう”特定疾患”は先に述べた”難治性疾患”とは範囲が違います。下のイメージ図をご覧ください。医療機関などで話題に上るのは、多くの場合、こちらの”特定疾患”です。

平成15年10月にかなり大幅な制度改正が行われました。以下、その部分に重点を置いた解説とさせていただきます。
 

 

 
この治療研究事業の対象となった疾患は一定の医療費、介護保険の適用になる医療サービスなどについて公費負担を受けられます
平成21年10月現在、事業の対象として56の疾患が指定されています。逆に言えば、“難病”である130疾患のうち、56疾患しか指定されていないということになりますね。多くの膠原病(11疾患)が指定されていますが、指定されていない疾患もあります。(シェーグレン症候群など)
指定されている56の疾患はどちらかといえば成人が発病しやすい疾患です。 

医療費の給付(公費負担)を受けるには、原則として医療保険(国民健康保険など)に加入していることが必要です。また、京都府が指定(以前は委託契約:改正)した医療機関でないと公費負担は受けられません。
 

重症の患者や所得の少ない家庭の患者以外は医療を受けるときに一部自己負担金が必要です。 平成15年10月に、それまで一律だった自己負担額が改正され、家計所得による段階的な自己負担額制度が導入されました。

判断基準となるのは、家計中心者の所得です。低所得者(市町村民税非課税)の場合は重症患者と同じく自己負担がなくなります。患者自身が家計中心者の場合は患者の所得(本人の場合は1/2計算)となりますが、扶養家族となっている場合は、自分自身の所得が少なくても負担額が増える可能性があります。
申請の詳しい内容はこちらをご覧ください。なお、京都府では院外処方の薬局での一部負担は従来どおり、必要ありません。(他府県も同様と思われます)

また、この改正で
30(平成21年10月現在)の疾患に「特定疾患登者証」が導入されました。56疾患のなかの膠原病は全てこれに該当します。「治療の結果、症状が改善し、経過観察等一定の通院管理の下で、著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことができると判断された患者」は「軽快者」と認定され、公費負担の対象から外れ、「特定疾患登録者証」の対象となります。

この「登録者証」では、公費負担は受けられませんが、悪化したときには、再度認定を受ける手続きが簡略化されたり、公費負担を医師が悪化したと認める日まで遡ってもらえるメリットがあります。また、引き続きホームヘルプサービスや日常生活用具給付等の福祉サービスを受けることもできます。

詳しい内容はこちらをご覧iいただきたいと思いますが、「要綱」と「実務上の取扱い」は特に重要ですから、ぜひ一読されるようお勧めします。

京都府のサイトにこの事業に関する詳しい説明があります。



●特定疾患治療研究事業要綱(厚生労働省健康局長通知)
●特定疾患治療研究事業の実務上の取扱いについて
●軽快者の基準
●自己負担額基準表
●特定疾患治療研究事業の対象疾患リスト

上記の情報については難病情報センターのサイトをご覧ください。
 



●小児慢性特定疾患治療研究事業平成17年6月1日改正

特定疾患治療研究事業が成人の罹りやすい疾患を指定しているのに対して、小児の慢性疾患を指定しているのがこの事業です。
長期間の治療を要する乳幼児や児童に対して、医療費を公費で負担することにより家族の経済的負担を軽減することを目的としています。

18歳(継続については20歳)未満の小児(児童・未成年者)がこの事業の対象となっています。

今まで国の定める要綱等に基づき行われていたこの事業ですが、平成16年11月の児童福祉法改正により、その根拠が法律に明記されることになりました。
その条文は次の通りです。

【児童福祉法第21条の9の2
 都道府県は、厚生労働大臣が定める慢性疾患にかかつていることにより長期にわたり療養を必要とする児童又は児童以外の満二十歳に満たない者(政令で定めるものに限る。)であつて、当該疾患の状態が当該疾患ごとに厚生労働大臣が定める程度であるものの健全な育成を図るため、当該疾患の治療方法に関する研究その他必要な研究に資する医療の給付その他の政令で定める事業を行うことができる。


これにより新たな制度として小児慢性疾患研究事業が開始されることなり、平成17年6月1日からスタートしました。(他府県では4月1日からスタートしているところがあります)

京都市内在住者は京都市が、京都府下の他の地域は京都府が事業を実施しています。膠原病を含めて、11の疾患群が対象となっていて、該当する病名が決められています。新規申請の受付はすべて18歳未満まで、継続申請は20歳未満までとなっています。(※京都府(京都市以外)の事業では血友病等血液疾患の継続申請は一部を除き30歳未満までとなっているようです)

今回の改正内容は成人の特定疾患と類似したもので、所得による自己負担額や認定基準の設定、通院の場合の公費負担の追加などです。対症疾患も10群から11群に拡大されています

小児慢性疾患研究事業に関して京都市は市保健福祉局のサイト、京都府はそれぞれの自治体のサイトに掲載しています。いずれももう少しビジュアルで解りやすいホームページ作りの工夫が欲しいところです。
以下のリンクを参考にしてください。

 ●京都府の小児慢性特定疾患治療研究事業実施要綱
 
 ●京都市保健福祉局
 ●厚生労働省研究事業概要
 ●リーフレット
 
 
●【 法制化された小児慢性特定疾患治療研究事業関係通知 】
  (法制化前の資料も含む)

対象となる疾患は下記のとおりです。各疾患の詳細は厚生労働省告示をごらんください。

悪性新生物 白血病、小児がんなど
慢性腎疾患 ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など
慢性呼吸器疾患 気管支喘息、気管支拡張症など
慢性心疾患 フォロー四徴症、心室中隔欠損症など
内分泌疾患 甲状腺機能亢進症など
膠原病 若年性関節リュウマチなど
糖尿病 若年性糖尿病など
先天性代謝異常 シスチン尿症、酸素欠損による疾病など
血友病等血液疾患 血友病、悪性貧血など
神経・筋疾患 点頭てんかんなど
慢性消化器疾患 肝硬変など


この治療研究事業の対象となった疾患の患者は一定の医療費などについて公費負担を受けられます
ただし、所得による自己負担額が今回の改正で導入されましたので、詳しいことは各自治体のサイトをご覧ください。
 


  
●地方自治体単独の事業
 
公費負担の対象となる疾患は基本的には厚生労働省が定めたリストに基づいていますが、それ以外の疾患を地方自治体単独で援助する事業があります。

京都府・京都市では小児慢性特定疾患の公費負担の範囲を広げる事業を行っています。(入院費負担、継続年限の延長、川崎病の指定など)

他の自治体、たとえば東京都、北海道や富山県(入院のみ)ではシェーグレン症候群も公費負担の対象となっていますが、全体的に見ればまだまだと言わざるを得ません。継続して各患者会が自治体に要望を続けていますが、いまのところ厳しい状況となっています。


医療費の助成以外にも福祉手当など、いわゆる“見舞金”制度があります。この見舞金については各自治体ごとに名称や対象者が異なっていて、金額も全くない自治体から月数万円支給している自治体までかなり差があるようです。タクシーチケットなどの交通費助成も同じ種類のもので状況も同じです。

京都府では過去
特定疾患治療研究事業および小児慢性特定疾患治療研究事業の対象として認定されている患者に対して年末に1万円の見舞金が贈られていましたが、現在は打ち切りとなっています。
 

 

 “特定疾患”のまとめ

 

難病

 特定疾患治療研究事業で指定された疾患(公費負担)

 小児慢性特定疾患治療研究事業で指定された疾患(公費負担)

 都道府県の事業で指定された疾患(公費負担)
 その他の事業で指定された疾患(公費負担)

 上記事業に該当しない疾患(通常疾患扱い、公費負担なし)


いわゆる難病(不治の病)でありながら、国の指定を受けていない疾患がまだまだたくさんあります。また難病に指定されていても、どの事業の対象にもならないために公費負担を受けられず、生活に苦しんでいる患者さんが多数いらっしゃいます。

小児慢性特定疾患治療研究事業で指定された疾患であっても、20歳になれば公費負担の対象から外れる疾患もあります。

本来、日本国内ならどこでも同じはずのこれらの事業が、細部では各地で違っているというようなこともあります。

このような不公平な状況をなくすために、行政に働きかけていくことが必要です。
 


 
京都府では上記事業の申請の窓口は居住地の保健所になっています。京都市が政令指定都市であるために一部単独で事業を行っている部分もありますが、府と市が調整を図り、府下どの地域においても手続き上の差がないようになっているとのことです。
手続きの詳細はもよりの保健所までお問い合わせ下さい。

京都難病団体連絡協議会では難病相談センターを開設し、悩んでいる患者さんや家族の方の相談を受けています。

膠原病以外にも患者会があります。一度問い合わせてみられるようお勧めします。
 

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